■ その4
 他に誰もいない昼のリビング。
 ここを支配しているのは、
  藍子の甘い息遣いと突き立てられた張子の動きによって彼女のヴァギナが奏でる妖しげな水音だけ。
「ああぁ・・・!」
 やがて、彼女は淫喜な叫びをあげながら身体を震わせ崩れ落ちる。
「ふぅ・・・。」
 少し呼吸が落ち着くと藍子は身体を横たえたまま、突き刺さったバイブをゆっくりと引き抜く。
「はんっ!」
 達したばかりの身体は、少しの刺激にもまだ反応してしまう。
 ぐちゅっ・・・という音とともに体外へと引き出されたバイブ。
 激しい行為で全体が濡れ光っているそれをじっと見つめる彼女。
 その表情は、先ほど絶頂を迎えたとは思えないほど硬い。
「はぁ・・・。」
 大きく息を吐いて、藍子は自分の淫蜜にまみれたバイブを脇に転がした。
(わたし・・・、なんでこんなことを・・・。)
 心の中で呟く彼女の視線の先には、テーブルに置かれた口の広いグラスが一つ。
(でも、我慢できない・・・。)
 藍子は、おもむろにグラスを手にした。

 早くに夫を亡くした藍子。今は高校に入学したばかり娘、翠と二人暮らし。
 残された遺産や自分の文筆業の収入もあるので経済的に困るようなことも無く、親娘二人気ままに暮らしている。
 周りからは再婚話が持ち込まれることも度々だが、今の生活が気楽と笑って見向きもしない。

 とは、言っても藍子は30台半ば。
 まだ女の疼きに度々焦らされ、今日のように自分で癒すこともある。
 それだけなら誰でもしてしまう『普通』の行為だろう。
 しかし、彼女にはその先に秘密があった。

 グラスをそっと股間にあてがい、ゆっくりと立ち上がると片手で膣口を開く。
 イッたばかりのアソコからはどろりと蜜が流れ出し、グラスの中へと流れ落ちる。
 わずか底のほうにしか溜まらなかったが、藍子は透明な液体を入ったそれをかかげるようにと口元へと近づける。
 舌に望んでいた快感がぬるりとした感触と共に零れる。
 まるで高級な洋酒を愉しむかのように自らの淫蜜を味わう彼女。
 その表情は数分前とはまったく違う、恍惚に満ちたものだった。

 この淫味を覚えたのは、ほんのわずか前。
 それまで、女の蜜を口にしたいなど思ったこともなかった。
 いつものように自分を慰めていたのだろう。
 でも、そのときの記憶はない。
 気がつくと、一心に自らが使っていたバイブをしゃぶっていた。 
 以来、ためらいを感じながらも自らのソレを味わうのを止めることができずにいた。

「ふぅ・・・。」
 すっかり空になったグラスをテーブルに戻し、ため息をつく藍子。
 自己嫌悪に陥りつつ、後始末をはじめる。
 シャワーを浴び、服を着替え、牝の匂いのこもる部屋の空気を入れ替える。
 あとは自分を悦ばせたモノたちを洗い、いつもの場所にしまうだけだった。

 藍子の寝室は仕事部屋も兼ねているので、記事を書く資料がそこここに山となっている。
 その山の陰にそっとバイブと蜜を味わうの使ったグラスを入れた箱を置く。
 翠には資料に触れないよう言い聞かせてあるので、見つかることはないだろう。
「あら?」
 ふと、見たことのない封筒が落ちているのに気付いた。
 さっき箱を取り出すときにはなかったはず。
(何かの資料に挟まっていたのが落ちたのかしら?)
 藍子は封筒を拾い上げると逆さ振ってみる。
「あっ・・・!」
 こぼれ落ちたのは写真が2枚。
「み・・・、翠ちゃん!?」
 確かに写真に写っていたのは、愛娘の翠らしき姿だった。
 震える手で拾いあげる藍子。
 それは当然のこと。
 写真に写る娘と思える少女は、薄いピンクのブラウスだけ身に着けた姿で写っている。
 さらに彼女を愕然とさせたのは、その露になったアヌスへに何者かの指が突き刺さっていたこと。 
 もう一枚では、自ら肛門を軽く弄んでいた。
 どちらの写真のなかの彼女は、満たされたような表情を浮かべている。
(これ・・・、本当に翠ちゃん?)
 よほど心地よいのだろう。
 ラビアからあふれ出た蜜が太ももにヌメリ光る筋をいくつも作っているのが写真でも分かるぐらいだ。
(すごい・・・。)
 意識した途端、一度は冷めた身体がジワリと熱を帯びてくるのがわかる。
「んぁ・・・。」
 写真から目を離すことが出来ず、『母』は無意識に切なげな吐息を漏らした。

「ただいまぁ。」
 その声に我に返る藍子。
 気付くと彼女のいる部屋は赤い光に染まっていた。
「お、お帰りなさい。」
 机の上に出しっぱなしだったあの写真をスカートのポケットにねじ込み、藍子は慌てて立ち上がる。
 玄関のほうに顔を覗かせると、ちょうど翠がこちらへ向かってくるところだった。
 友達と別れ、ひとり遠くの学校へ通うことに不安を覗かせていた娘。
 しかし、卒業式の日を境にそれを口に出すことは無くなっていた。
「あれ?どうしたの、ママ?」
 ちょっと怪訝そうな表情の翠に、母は背中に冷たいものが通り過ぎるような感覚を覚える。
 写真を魅入ったあの時、藍子の身体は自然にさめることを許されなかった。
 そう、彼女は『娘』の艶かしい姿を自らを慰める道具としてしまったのだ。
 絶頂を迎えたときに感じた背徳感、そして同等の満足感。
 二つの思いのせめぎ合いは母親という感情も混じり、この時ばかりは蜜を味わうことも忘れてしまうほどだった。
「な、何が?」
 なんとか普段と変わらぬふうを装う藍子。
「だって、なんか慌ててたし、夕ご飯の準備もまだみたいだし・・・。」
「あ・・・、う、うん。ちょっとうたた寝しちゃって。」
 自分の心配がまったくの的外れだったのに安堵し、曖昧な笑いを翠に返した。
「ママ、疲れているんじゃない?」
 二人はリビングに入りソファに並んで座る。
「今日のご飯は、わたしが作ろうか?」
 自分を労わる娘の眼差し。
「うんん、大丈夫。」
 藍子は翠の頭を抱えるように胸元に引き寄せた。
(これが同じ娘なのかしら・・・。)
 あの2枚の写真が脳裏に浮かぶ。
 翠のように見えたけど、実は別人かもしれない。
(何かの間違いよね、あの写真は。)
 今はそう信じよう。
 心の中で誓う藍子はふと、まだ自分の下着が湿ったままなのに気付いた。
 
(ママ・・・。)
 自室に戻った翠は制服のままベッドに倒れこんだ。
 身体がジワジワと火照ってくる。
 湧き上がるものを堪えるように枕を抱きしめた。
(ママ、もしかして・・・。)
 さっきリビングで抱きしめられたとき、ママから漂ったかすかな匂い。
(・・・『してた』の?)
 あれは間違いなく茜と交わりのときに嗅ぐのと同じ匂い。
(ママだってまだ若いし、気持ちよくなりたくなるときもあるのかもしれない。)
 年齢より5、6才も若く見られることもある若くて綺麗な自慢の母・藍子。
 思わず想像してしまったそんな母親の痴態。
 娘はなんとか打ち消そうと、枕に顔を押し付ける。
 しかし、膨らみだした欲望が、生んだ幻が、そんなことで打ち消されるはずがない。
 気がつくと、乳房を弄ぶ自分がいる。
(もう、ダメ・・・。) 
 枕を放り出しスカートを脱ぎ捨てると、
  もどかしげにストッキングとパンティから片足だけ引き抜く翠。
 ベッドの上で大きく開かれた股間を這う右手は、迷うことなく肛門へと伸びた。
 指先が門肉に触れるだけで、それはピクピクと震え、妖悦のしびれが全身へまわってゆく。
 淫欲を満たし快感を引き出す臓器と変貌した尻穴は、
              彼女の細い指一本では物足りなさを感じるようになっていた。
「んんっ!」
 壁を擦られ掻き回される腸内の刺激が、苦しく心地良い。
 声がこぼれ出そうになるのをぐっとかみ殺し耐える。
 左手が快感を増幅させるようラビアとクリトリスに触れるが、いつもように決して膣口の奥へと進むことはない。
(やっぱり、アナルがいい・・。)
 翠は、更なる快感を得ようと後ろの蕾の愛撫を強めた瞬間、ドアを軽く叩く音が・・・。

「翠ちゃん?」
 夕食の献立の希望を聞こうと娘の部屋に入った藍子は、
   まるであの写真が引き伸ばされ、目の前に突き出されたような錯覚を感じた。
「ママ!」
 翠は慌てて行為を中断すると隠れるようにシーツにくるまる。
 あれほど熱を帯びていた身体と心は一気に冷めてしまう。
 それの様子は、さっきとは別人と思えるほどに恥じらいに染まっていた。
 一方。
 娘の辱姿に呆然と立ち尽くしてしまった藍子。
 ついさっき信じようとしたものが崩された衝撃は大きかった。
(やっぱり、あの写真はこの子なの?)
 あの写真の少女と目の前の翠の姿が重なる。
 驚愕に支配されつつも、燻っていた思いが視線をある一点に向けさせる。
(すごい・・・。)
 翠の股間に掛けられたシーツは肌の色に薄く透け、覆い隠すどころかその有様を強調してしまっていた。
 何がシーツを濡らしているか・・・、彼女には十分解っている。
(わたし、もう・・・。)
 藍子はつばをゴクリと飲み込んだ。
 心の奥が求めていたものを目の前にし『母』は娘へとぎこちなく歩み寄っていく。

 突然、後ろから覆いかぶさるように抱きしめられピクンと身震いしてしまう翠。
「翠ちゃんだって、もうそんな年だもん・・・。」
 彼女の耳元でママが呟いた。
「エッチな気持ちになっちゃうことだってあるわよね。」
「ママ・・・!?」
 戸惑う翠を包む白い布を藍子はそっと剥がす。
 望むものが露わになった娘の秘部から流れる。
 それを見た『母』の動きに、もはや躊躇いはなくなった。
「あんっ。」
 身に着けたままであった上着の裾から両手を差し入れ、翠の胸をまさぐる藍子。
「翠ちゃんのおっぱいって、こんなに大きかったのね。」
 服の中でブラを留めるホックを外し、藍子は直接、乳房に触れた。
 淫欲のなかで初めて触る他の女の乳房は、とても柔らかく暖かい。
 いつまでもさわっていたい。
 そんな衝動にも駆られる。
「んぁ、あ・・・・。」
 胸の動きに合わせて吐息を漏らす翠。
「ママ、だめぇ・・・。」
 肉親、しかも同性の母親に犯されているという異常な状況に
  わずかな理性が抗おうとするが、昂揚した身体は為すがままであった。
 藍子は、その残された娘の恥辱の思いを打ち消そうとするかのように、乳首を指先で玩ぶ。
「ん!」
 切なげにぎゅっと目を閉じる翠のその顔が愛おしい。
(もう十分かしら?)
 娘の胸から股間へと手を這わせる『母』。
 獲物の出来を確かめるかのようにラビアを指を軽く当てる。
 指を伝い手の平まで垂れ流れるの淫蜜を感じ、彼女は興奮を覚えた。
「ママぁ・・・。」
 上目遣いに藍子を見る『娘』の瞳は、既に母を拒む意思は消え去っている。
「お願い・・・、膣には何も入れないで・・・。」
「・・・どうして?」
 藍子の問いかけに翠は視線を逸らし、再び「お願い・・・」と呟くだけだった。
(そういえば・・・。)
 藍子には思いあたることがある。
 写真に写し出された姿も部屋に入った姿もそうだった。
(翠、アナルなんてどこで知ったの・・・。)
 偶然、自分で開発してしまったのだろうか。
 そんなことはあるはずがない。
 そう、あの「指」の主によって・・・?
 しかし、淫気に支配された彼女には、それを問い質す気などなかった。
 ただ、今は獲物を手に入れることだけ。
「分かったわ。入れないから安心して。」
 その答えに安堵したような娘に対し、彼女は頭を向こうにして四つんばいになるよう命じた。
 翠はおずおずとその命令に従う。
 小ぶりなお尻が藍子の目の前に差し出される。
 開かれた大小のラビアからあふれ出す淫蜜は太ももを滴り落ちていく。
「あんっ・・・。」
 藍子はむしゃぶりつくように、『娘』の太ももに唇を充てた。
(すごい・・・!)
 彼女の中へ流れ込んだ少女の蜜は、何ともいえないものだった。
(この子の・・・、なんて『上物』なの・・・!)
 たった一口で『娘』の生むに淫味の虜となる『母』。
(もっと・・・。)
 一滴でも多く蜜を。
 太ももを舌は這い上がり、その付け根から股間全体にかけて、藍子は丹念に舌を這わる。
「ママ? ママぁ・・・。」
 執拗な舌の愛撫は翠に軽い絶頂を与えて続けていく・・・。

 ベッドにはうつ伏せに倒れる翠。
 幾度目かの弱い絶頂の波に、ついに彼女の手足は支える力を失った。
(これ、私のせいよね・・・。)
 ぼんやりと考える。
 自分が淫らな姿を見せてたことで、ママの劣情に火をつけてしまったという思いが胸を過ぎる。
(ママ、ごめんなさい。)
 涙を浮かべる翠。
 が、そのアヌスは物欲しそうにピクピクと震えた。
 その傍の床に藍子がベッドを背に座り込んでいる。
 翠が力尽きたことで彼女は我に返った。
(私、とうとう・・・。)
 実の娘を犯す。
 そんなことは作り物のこと、別世界の話しだと思っていた。
 なのに。
(翠ちゃん、ごめんね。)
 心の中で詫びる藍子。
 でも、彼女の淫裂は濡れたまま収まることを知らない。
 『母』と『娘』の視線が絡み合う。
(私、どうしたらいいの・・・?)

 ・・・・・・・・・・。

 いつものように薄暗い影のなかに二人はいる。
「さて、ふたりはどうするのか見ものですね。」
 緋は小さく呟くと、手に持っていた透明な珠を傍らに置く。
 「でも、分かっていますけど」と言わんばかりに口の端で笑う。
「緋様。」
 彼女の座る一段下に茜が跪いている。
「この前にお渡しした翠様の・・・、写真は如何されました?」
 緋に請われ、茜は翠の調教中の様子を写した写真を数枚渡していた。
「あれですか? しまってありますわ。」
 明確さを示さぬまま、微笑のうちに流される答え。
「それより・・・。」
 彼女は傅く少女の前へと静かに歩み寄った。
「来なさい、茜。」
 そのいざないの言葉に引かれるように、緋の前へと進み出る。
「ん・・・。」
 緋は自分の唇を茜のそれに押し付ける。
 舌と舌が絡み合い、互いの唾液が流れ込む。
 どのくらい経っただろうか。
 やがて離れた二人の間に透明な橋が架かり消えていく。
「貴女には、まだしていただく事はあります。」
「あうっ・・・、わ・・・解っております・・・。」
 彼女の身体へいつの間に巻きついた『何か』が乳房を、そしてラビアを弄ぶ。
 それが呼ぶ覚ます快感に言葉を絶たれつつも、何とか緋に答えた茜。
「そう、貴女と彼女が何時もまでも一緒にいるために、必要なことなのですから・・・。」 
 自らの手により牝の喜びを刻まれつつある恋人を「翠様」と呼んだ彼女。
 茜もまた緋の淫悦な教えによって、翠への愛情を僅かずつ歪めていく。



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